Asana のお客様と協力した製品づくり

Asanaコミュニティ Advent Calendar 2023 25日の投稿です。
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お客様のミッションは、Asana のミッションです。そのため、Asana ではお客様と一緒に製品ロードマップを作成し、開発プロセス全体にわたってお客様のフィードバックを大切にしています。CPO (最高製品責任者) として、どのようにロードマップを策定し、お客様のフィードバックをどのように活用しているのかについてよく質問を受けますので、Asana の製品開発へのアプローチを簡単にご説明します。

まずは最も大事なリソースである「お客様」から

お客様は、Asana 製品のストーリーを一緒に作り上げる存在です。「お客様の声」プログラムやアンバサダー限定の「コミュニティの声」プログラムを通して、フィードバックには常に耳を傾けています。Asana のアンバサダー、チャンピオン、フォーラムメンバーの方々が、ユースケース、問題点、製品フィードバックに積極的に貢献してくださり、最高のコミュニティを築いてくださっていることに感謝しています。お客様やコミュニティと直接やりとりする Asana の従業員は、Asana フォームを使って製品リクエストを送信します。フォームから送信されたリクエストは、「お客様の声」というプロジェクトに集められ、オートメーションによってカテゴリ分けされることで、適切なプロダクトチームに届くようになっています。

熱心なユーザーの皆様は自分の意見がきちんと届いていると感じられ、開発者はお客様からの貴重なインサイトを継続的に受け取ります。双方向の関係が生まれるのです。こうしたインサイトを構想からリリースまでの製品ロードマップ作成に活用し、常にお客様のニーズを優先できるようにしています。



パートナーが担う大きな役割

また、お客様の声を代弁し、フィードバックを統合する重要な役割を担っている世界中のパートナーの皆様にも感謝しています。ワークフローの導入、目標の設定、新しいチームのオンボーディングなど、どのようなサポートを提供しているかどうかにかかわらず、お客様により良いサービスを提供する機会を特定する上で、パートナーはしばしば私たちより一歩先を行っています。

10月のワークイノベーションサミットでは、iDO の @Bastien_Siebman 氏や @Julien_RENAUD 氏、Bridgeflow の @Bernd_Kopin 氏などのパートナーとお会いできました。早期に対処すべき重要なリクエストを教えていただき、Asana の製品ビジョンに関するリアルタイムの反応やフィードバックも共有していただきました。Asana の長期的な方向性の改善や、カスタマーエクスペリエンスの大きな改善に役立つ、具体的なインサイトをたくさん持ち帰ることができました。



カスタマーエクスペリエンスの劇的な改善を目指す

チームに必要なツールなど、仕事の世界は変化しています。Asana のリサーチチームは、職場のトレンドを常に調査することで、組織が今必要としているものを理解し、今後もお客様を悩ませるであろう問題を予測しています。Asana がワークイノベーションサミットで発表した「働き方を変革する AI の可能性」というビジョンにも、こうした調査の内容が活かされました。

AI を使うことで、反復的な作業を自動化したり、面倒な作業を減らしたりといったことが可能ですが、AI の真の価値は、ビジネスを変革するような大きな変化を促進する触媒になれるという点にあります。Asana が見据える未来では、AI がすべてのワークフローやユースケースにシームレスに統合されています。日々の戦術的タスクに役立つのはもちろん、戦略的イニシアチブの全体にわたり人材やリソースをコーディネートし、活用できるようにすることで、より少ないリスクで、より早く結果を出せるようになります。

顧客中心設計のプロセスを AI で補完する

Asana は、人間の直感と AI を組み合わせることで、より包括的な製品戦略が完成すると考えました。プロセスは、「お客様の声」プログラムという人間中心のアプローチから始まります。そしてその人間中心のレイヤーに基づき、AI を使って多くの生の声から具体的なインサイトを抽出します。これは単なるカテゴリ分けではなく、トレンドや新たな機会の発見につながります。そこから、これらのインサイトをさらにフィルタリングする確認プロセスを開発しました。リクエストの数、長期的なビジョンとの整合性、市場機会などの基準を使用します。

その結果、プロダクトリーダーが戦略策定や目標設定の最初のインプットとして使う、唯一のランキングリストが完成します。戦略的な柱に関するリーダーの認識が揃ったら、目標と、目標としないものを決定し、研究開発チームのロードマップ作成の指針を示します。

大胆な目標が思考の限界を押し広げる

目標設定について、私がリーダーや個人にしているアドバイスは、より多くの顧客価値を生み出す大きなアイデアに目を向けるということです。もし、前年を少しだけ上回る目標を立てたら、エクスペリエンスの変化も、お客様への影響も、毎年徐々に大きくなっていくだけです。背伸びして大胆な目標を設定することで、それに応じて計画も変化し、思考の限界が広がります。

そしてプロダクトチームは、顧客価値を生み出す最大限の手段に基づいたロードマップを作成し、働き方の未来へと Asana を近づけます。

人間中心の設計がロードマップに命を吹き込む

機能が製品ロードマップに反映されたら、「ダブルダイヤモンド」プロセスを開始します。その名前の通り、このフレームワークは、人間中心の設計プロセスを「拡散的思考」と「収束的思考」という 2 つのダイアモンドで視覚化するものです。このプロセスは、主に 4 つのステージで構成されています。

  • 発見: この最初のステージでは、「お客様の声」からのリクエストや、ユーザー調査、データ分析に基づいて、問題領域を把握します。
  • 定義: 発見ステージで得た知見に基づいて、問題を特定し、デザインブリーフを作成します。
  • 開発: このステージでは、解決策をブレインストーミングし、プロトタイプの作成やテストを行います。このステージでの初期コンセプトにフィードバックを寄せてくださるコミュニティメンバーの皆様、いつもありがとうございます。
  • 納品: 最後のステージでは、選ばれた解決策をさらにテストして洗練させ、製品に組み込める状態にします。


ダブルダイヤモンドの特徴は、創造的な探索と、確実な解決のバランスが取れるところです。これは開発の青写真であり、効果的かつ柔軟性があるため、イノベーションを発揮できる余地があります。

従業員とアンバサダーが素晴らしいエクスペリエンスの提供をサポート

新機能のリリース前には、まず Asana のパワーユーザーであり、見る目も厳しい Asana 社員のテストに合格しなければいけません。非効率な点やバグ、その他の難点が鋭い目ですばやく指摘されます。日々の業務に、熟練の製品テスター達が組み込まれているようなものです。Asana 社員のフィードバックを真摯に受け止め、潜在的な問題点に対処する調整を加えます。「ドッグフーディング」と呼ばれるこのやり方は、厳格な社内品質チェックであり、これにより初日からお客様に優れた製品を提供することができます。

また、アンバサダーは、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するためのもう 1 つの防衛線であると Asana は考えています。早期アクセスとベータ版プログラムを通じて、製品を使う人々とコミュニケーションを取ることは欠かせません。ベータ版とは、大規模な機能の導入前に、一部のユーザーに一定期間、実際の環境で機能を試してもらうための、機能のプレリリースです。ベータ版プログラムでは、Asana が QA プロセスで見つけられなかったバグやその他の問題がユーザーによって発見され、最終的な設計変更が行われることがあります。



あなたのサポートが、私たちのサポートをより良くします

今後とも、Asana のエクスペリエンスを向上させるために、ぜひフィードバックをお寄せください。すべてのご要望に応えることはできませんが、すべてのリクエストに目を通します。プロダクトビルダーとしての私たちの仕事は、お客様が直面している最も深刻な問題に対して、可能な限り最適なソリューションを見つけることです。皆様からいただく機能のリクエストは、潜在的なソリューションですが、唯一のソリューションではありません。製品フィードバックをお寄せいただく際は、お客様がどのような方で、どのような問題を解決しようとしていて、どのようなワークフローを構築しようとしているのか、現在はどのようにその作業を行っているのかなどの詳細を記載していただき、Asana がお客様のお役に立てるようご協力ください。

Asana の製品戦略にいつも影響を与えてくださるお客様、パートナー、および幅広いコミュニティに感謝します。構想から完成まで、製品ロードマップの設計は、皆様と共に歩む旅です。このプロセスによって Asana は、新機能をリリースするだけでなく、お互いに成功を分かちあえる文化を形成しています。

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